第72期生卒業証書授与式
第72期生卒業証書授与式を挙行いたしました。
卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。
春からは、富山県内はもとより、全国各地のサロンで新社会人としての仕事が始まります。
【学校長式辞】
春爛漫が待ち遠しいころになりました。
本日、富山県理容美容専門学校 理容科美容科第72期生78名の卒業式を挙行できますことは、ご父兄、在校生、教職員、役員、および関係各位のご努力のおかげでございます。
高い席からではございますが、感謝申し上げます。
卒業生諸君、卒業、おめでとうございます。
さて、「古楽府(こがふ)・君主行」にある「李下に冠を正さず瓜田に履を納れず」という諺があります。
「李下(りか)に冠(かんむり」を正さず」は李(スモモ)の木の下で冠(かんむり)を被り直せば、李を盗むと疑われる。
「瓜田(かでん)に履(くつ)を納(い)れず」は瓜の畑の中で履をはきなおすと瓜を盗むと疑われる。
「人から疑いをかけられることは慎む」の例えとして使われます。
昨今、大学やオリンピック委員会、大手広告代理店等、組織の中枢をなす人の法令違反が報道されています。
本校は教育機関として人材の育成に誠心誠意向き合い、「李下不正冠」「瓜田不納履」の諺を戒めとしなければなりません。
つまり、学生に衛生管理、皮膚科学、人体の構造、香粧品化学、業界関連法規を学ばせ、国民の生活衛生に資する理容師、美容師、エステティシャン、ネイリスト、アイリスト、メイクアップアーティストとして育て上げる本校の責務はビューティービジネス業界の法令順守の「ファーストペンギン」たる人材を社会に送り出すことに他なりません。
「ファーストペンギン」とは、ベンチャー精神を持って行動する個人や企業を、尊敬を込めて呼ぶ言葉です。
ペンギンは常に集団で行動しますが、群れを統率するリーダーやボスはいません。よくテレビなどで、氷上をペンギンたちが隊列を組んで移動する姿が映されますが、なぜあのような行動がとれるのかというと、最初に行動を起こした1羽に皆が従う習性があるからです。
餌をとるために海に入る時も同様です。最初の1羽が飛び込むまで、群れはお互いに牽制し合うような仕草を見せ、決して各々勝手に飛び込もうとしません。
海の中にはペンギンの天敵であるシャチやトド、オットセイがいるかも知れません。最初の1羽は身をもって海中の安全を群れに伝えているようにも見えるわけです。この最初の1羽は、非常に勇気ある行動をしたように見えます。
しかしこの最初の1羽には、リスクばかりがあるわけではありません。群れの仲間に先んずる分、より多くの餌にありつける可能性があります。ビジネスも同様で、他に先んずることで、より大きな利益に結び付くかも知れません。
ただし、本校がビューティービジネス業界に送り出す「ファーストペンギン」が目指すこの場合の大きな利益は、本校で多くを学んだお客様の安全を最優先にお客様にホスピタリティを与えることであり、目先の利益のことでないことは言うまでもありません。
卒業生諸君のビューティービジネス業界での「ファーストペンギン」たる活躍と発展を切に祈ります。
学校生活を振り返れば、1年先輩の72期生には大変申し訳ない事になりましたが、コロナ禍ですべての学校行事がない学年でしたが。しかし、君たちはZOOMによる英会話授業と2年ぶりの海外研修としてフィリピンセブ島での英語研修とリゾートウエディング研修が実施できました。これもひとえに、ご尽力いただいた多くの関係各位のおかげです。改めて、御礼を申し上げます。
今後は、コロナの流行にかかわらず社会活動は元の形に戻ることが考えられます。そのため、来年はセブ島での英語研修と本校が主催するファッションイベントのセブコレクションを実施し、さらに加えて、ニューヨークでのファッションウィーク参加を準備しております。皆さんが切り開いたコロナ後初の海外研修に、卒業後も継続して後輩たちの動向に関心を持ち続けられ、将来、ビューティービジネス業界人として本校の海外研修に同行および協賛する人材、経営者に成長することを切に望みます。
また、衛生管理を教える者の一見解として、ウイルスと宿主の共生の説から新型コロナウイルスは宿主に対する感染力を維持する方向に弱毒化しているようです。今期は新型コロナ感染症のパンデミック後初めてインフルエンザの同時流行が見られました。人類は新型コロナウイルスに対するかなりの後天的免疫をワクチンと感染により手にしたものと推測されます。日本の新型コロナウイルス感染症の法律上の分類を2類から5類への変更が決定されましたが、通年性の普通の風邪ウイルス感染症となるまでの時間的行程はいまだ見えません。
衛生管理技術で消毒法を学んだ皆さんは、国民の生活衛生に資するため知見を身に着けています。今後、どのように対応していくかは国民一人一人の見識と正しい行動によるところが多いと思われます。
卒業生諸君の一国民としての見識に期待します。
最後になりますが、ご父兄の皆様、ご子息様とご令嬢様ご卒業おめでとうございます。時には叱咤激励し、時には慈愛をもって接しられ、成人として社会人としてご立派に育て上げられましたことに敬服いたします。
加えて、本校教育活動に多大なるご支援を頂き感謝に堪えません。改めて、お礼を申し上げ、式辞といたします。
令和5年3月13日
富山県理容美容専門学校
校長 金谷健興